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会社法 利益と資本の峻別を葬る

2009.10.24

旧商法時代には、「利益準備金の資本組入れ」、「利益の資本組入れ」は容認されていました。
しかし、平成18年、会社法になってからは、会社計算規則において、その他利益剰余金又は利益準備金を取崩して資本金に組入れる(振替える)ことはできなくなりました。この取扱は、会社法も会計基準と同様、「資本と利益の峻別」を遵守するという考えの下に定められたものでした。
「会社法施行規則」及び「会社計算規則」の一部改正で、平成21年4月1日以後、「利益準備金やその他利益剰余金の取崩しによる資本組入れ」が可能となりました。 
会社法は、僅か3年余りで、「利益と資本の峻別」という大原則をあっさり葬り去ってしまいました。理由は、国際的な会計基準とのコンバージェンス(収れん)の必要性からのようです。

(1)条文の改正内容
 計算規則の改正内容ですが、旧条文にある括弧書き(資本準備金に限る)とか(その他資本剰余金に係る額に限る)とかいう文言が削除されました。そのため、利益準備金及びその他利益剰余金も資本に組入れることが可能となったわけです。

(2)みなし配当課税はどうなるの
 税法においては、この「利益の資本組入れ」に伴う「みなし配当課税」について、紆余曲折がありました。過っては、「利益の資本組入れ」については、「みなし配当課税」がありました。その後、旧商法の最低資本金制度の導入により、会社組織維持の観点から、平成3年4月1日から平成8年3月31日まで、暫定措置として、最低資本金(株式会社1000万円、有限会社300万円)までの「利益の資本組入れ」については非課税としました。
 そして、平成13年の税制改正(企業組織再編税制)で、「株主等に対し資産の交付がない場合のみなし配当」については、その課税を廃止することとされました。当然ですが、その中には、「利益積立金」の資本又は出資への組入れも含まれています。
 平成13年の改正以後、今日まで、この「みなし配当」に対する課税上の取扱に変更がありませんので、今回の会社計算規則改正による利益準備金等の資本組入れに関しても「みなし配当課税」は無いということになります。